はじめまして、かのえりと申します。
今回は結川恵さんの『淳子のてっぺん』を読んだのでご紹介します。
女性は家庭を守るもの!という考えが主流だった時代に、女性のみの登山チームでエベレスト登頂を果たした女性の物語です。
様々な壁にぶつかりながらも、最後にそれぞれの「てっぺん」にたどり着く様子に感銘を受けました。
それではさっそく、印象に残った部分を中心に感想を書いていきます。
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『淳子のてっぺん』あらすじ
作品情報
書名:淳子のてっぺん
著者:唯川恵
出版社:幻冬舎
「エベレスト? 女なんかに登れるもんか」そんな男の言葉に負けん気を発揮、女性だけの隊で頂きを目指し、8848メートルに立った淳子。山頂から彼女が見たものは――。直木賞作家が田部井淳子さんをモデルに書き上げた、渾身の長篇小説。ただ、山が好きで、会社勤めをしながら暇さえあれば山に登っていた淳子。山が好きだということをのぞけば、ごく平凡な女性の淳子が、女性だけの登山隊でヒマラヤを目指すことになる。最初の目標はアンナプルナ。「女なんかに登れるはずがない」という言葉に反発して挑戦したが、初めての海外遠征は資金繰り、寝る暇もない膨大な準備、女性隊員同士の嫉妬、軋轢、分裂と大変なことだらけ。登頂は成功したが、苦い物が残った。複雑な思いでいる淳子に「ねえ、エベレストに行かない?」と声をかけたのは、ともにアンナプルナで苦労した隊長の明子だった。成功すれば、女性として世界初だ。山男である夫の正之に「行くべきだよ」と励まされ、淳子は決意を固める。アンナプルナ以上の困難を乗り越え、8848メートルの頂きに立った淳子の胸に去来したのは……。好きなこと、やりたいことを見つけて、どんなに苦しくても一歩一歩、足を運べば、必ず夢は叶う。山を愛し、家族を愛し、人生を愛した淳子の生き方が、すべての女性の背中を優しく押してくれる。直木賞作家・唯川恵が、女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんをモデルに書き上げた、感動の長篇小説。
引用:幻冬舎
『淳子のてっぺん』を手にとった理由
私は女性がバリバリ働いたり、強い心で問題に立ち向かっていくような物語が好きです。
自分も同じように、強くたくましく生きていけるような気持ちになるからです。
ただし現実の自分は理想とはほど遠く…。
そんな自分に落ち込んでいたので「強い女性が主人公の本」で探したところ、『淳子のてっぺん』にめぐり合いました。
こんな人におすすめ
おすすめ
働く女性
家庭を守る女性
自分の好きなことを一生懸命がんばっている人
登山が好きな人
心に響いた内容
心に響いた内容をご紹介します。
自分の行動が周りを変える
アンナプルナ・エベレストなど7500メートルを超える山々を上るには、時間・環境・経済力など様々な問題に直面していきます。
中には女性特有の問題もあります。
たとえば
家事・育児のために練習に時間をとれない
家庭をないがしろにしていると批判される
長期休みをとると職場復帰だけではなく社会復帰も難しい
など…
当時は女性は主婦として、母親として家庭を守ることが一番大切とされていた時代でした。
そんな時代に数か月もの間海外遠征をすることは、周りの環境が許してくれません。
そのような理由で海外遠征を断念する仲間達に、淳子は「なぜやりたいと思ったら努力や説得をしないのか」と憤りを感じます。
私は当初、淳子は理解ある旦那様や職場という恵まれた環境にいるからそのようなことが言える。
誰もが周りに理解してもらえる環境ではないのでは…と否定的な考えでした。
しかし、淳子の姉の言葉で淳子の熱意・行動が周りの人の理解につながっているということに気づかされました。
自分が熱意をもって誰よりも努力をすると、周りも影響を受けて変わっていくのだと感じました。
体力と技術以外に必要なもの
淳子は2度の海外遠征で、チームで登山をするために必要なことに気が付きます。
それは、自分の心身をコントロールすること、他者へ協力すること、チームを明るくするユーモアでした。
もちろん体力と技術は必要です。
それと同時に、いかに快適にストレスを少なくして、チームで長期間一緒に過ごすことができるのかが大切になってくるそうです。
特に笑いが重要で、みんなで笑うことができると気持ちに余裕ができると。
これは登山以外でも大切なことですよね。
仕事でも家庭でも、気持ちに余裕ができると相手を思いやる気持ちが生まれます。
困っていることはないだろうか?
どうしたら相手が気持ちよく過ごすことができるだろうか?
自分のことだけではなく、相手のことも考えながら行動すると自然とチームワークがよくなる。
簡単なようで、とても難しいことですよね。
家庭というチームをよりよくするために、私も心掛けていきたいと思います。
大切な人のために山に登る
エベレスト登山途中、チームメンバーの中に突然辛い現実が振りかかった女性がいました。
もし私が同じ状況だったら、すべてを投げ出して日本に帰るだろうと思うほどのことです。
しかしその女性は、チームに戻ってきました。
どんなに辛くても、大切な人が見てくれているはずだと自分を奮い立たせているように感じました。
同じ状況だったら自分もこんなに強くいられるだろうか…。
相手を想って山に登り続けられるだろうか…。
私にはできないだろう…。
そう考えると同時に、自分のためだけではなく大切な人のために行動することの偉大さを感じました。
まとめ
今回は「淳子のてっぺん」をご紹介しました。
女性だけの登山チームでもエベレストに登る。
女性は家庭を守るのが仕事という時代に、周りの人の理解をもらって自分の好きなことを貫くことの難しさを感じました。
それと同時に、心の底からやりたいと思って行動すると周りも必ずわかってくれるのだと思いました。
この物語は専門用語も多く、読むのが難しいと感じるところも多かったです。
しかし、実物はどんな道具なんだろう?と調べながら読むと臨場感が伝わってきます。
エベレスト登頂への臨場感はもちろん、女性登山家たちの人間模様も気になりどんどん読み進めることができました。
登山が好きな人はもちろん、登山に興味のない人にもおすすめの本です。